遺影写真の撮り方選び方解説集!相場や適した服装まで徹底解説
はじめに
葬儀式場に入ると大きく飾られている遺影写真は、生前の故人の人柄を表す大切な写真です。生前の故人の姿を思い浮かべ、涙する方もいるでしょう。
この遺影写真は「葬儀前にご遺族が選ぶ」ことが多いのですが、生前にご本人が用意するケースが増えてきているのはご存じですか?
その理由の1つとして、近年の「終活ブーム」が背景にあります。
終活とは「自分の人生の終わりを意識する」活動です。
自分の情報が家族と共有できるようにエンディングノートに書き記したり、葬儀社の事前相談会に参加して前もって葬儀プランを選んだり、その活動はさまざまです。
終活を行う中で、「最後に見られる写真は自分で選びたい」と事前に用意する方が増えてきているのです。
本記事ではそんな最近注目されている「生前に撮る遺影写真」や「遺影写真の選び方」を解説しています。
終活に興味のある方はぜひ最後まで読んでお役立てください。
「遺影写真」とは?
遺影写真は生前の故人の姿を写した写真で、葬儀の際に祭壇の上に飾られるものです。
その歴史は戦時中から始まったといわれています。
当時は写真は高価なものだったため、肖像画などを使用していました。
その後、白黒の写真が使われるようになり、現在はカラー写真が一般的です。
葬儀中は祭壇の中央に飾られますが、葬儀を終えてからは仏式なら四十九日まで神式なら五十日祭の頃まで、後飾り祭壇と呼ばれる自宅に設置した祭壇に飾られます。
それ以降は処分したり、そのまま飾り続けていたりご遺族の意思に任されます。
遺影写真を準備する目的とは?
遺影写真を前もって準備する目的の1つに、残された家族の負担軽減が挙げられます。
遺族は葬儀の際に決定すべき項目がたくさんあります。
斎場選びに始まり、葬儀の形・会葬者の数や会食の料理・返礼品などを短時間に決めていきますが、その中でも特に重要なのが「遺影写真選び」です。
生前撮影した写真やデータを用意しその中から1枚を選びますが、どれが1番本人らしいか悩んでしまうことも多いでしょう。
しかし、本人が生前に準備しておくと、家族は写真選定の手間が省ける上に「本人が選んだ写真」と自信を持って祭壇に飾ることができるのです。
【撮り方】生前に遺影写真はどうやって撮影すれば良いの?
ここからは生前に遺影写真を準備する予定の方に向けて、最適な撮影時期やさまざまな撮影方法を詳しくご紹介します。また、遺影写真にふさわしい服装や、遺影写真のサイズなどについても解説します。
遺影写真に適した撮影時期はいつ?
「元気なうちに遺影写真を撮りたい」と思っても、具体的に何歳で撮影すれば良いか悩む方も多いでしょう。
遺影写真の本来の目的は、葬儀のときに祭壇に飾り生前の姿を思い浮かべてもらうことです。つまり、あまりに若いときに撮影すると、参列している方に違和感を持たれてしまいます。
撮影のタイミングとしては70歳の古希・77歳の喜寿の際にお祝いを兼ねて撮影しておくのがおすすめです。
他には、お孫さんの誕生の記念に撮影したり、結婚の周年祝いのときに夫婦で撮影する方もいます。
「遺影写真を撮る」と意気込むよりも、お祝いのタイミングで撮影する表情が自然と柔らかくなり、同時に楽しい思い出として残すことができます。
いつ撮影しようかお悩みの方は、節目の時期に撮影してみましょう。
遺影写真をいつ撮ろう?と迷われている方は、以下の記事でおすすめの撮影時期についてより詳しく紹介しています!ぜひ参考にしてください。
遺影写真の撮影方法にはどんな手段がある?
では、どのような方法で遺影写真を撮影すれば良いのでしょうか。ここでは、撮影手段を3つご紹介します。料金についても解説しているので参考にしてください。
撮影手段1:自撮り
手持ちのデジカメやスマートフォンを使用すると手軽に自撮りができます。
プロの撮影と比べ、好きなタイミングで何度も撮影できる点が自撮りのメリットです。
スマートフォンなら加工ツールを使用して美肌に変化させたり、遺影が撮影できるアプリを使って実際の遺影をイメージしたりも可能です。
デジカメはボタン1つで簡単に撮影が行えるので、高齢の方でも使いやすいでしょう。
「遺影写真にお金をかけたくない」という方は、スマートフォンを使って撮影するのがおすすめです。
撮影手段2:葬儀社の終活イベント
「自分で撮影するのは難しい」という方におすすめなのが、「葬儀社の終活イベント」です。
葬儀社では、終活に関するさまざまなイベントが定期的に開催されていますが、遺影写真の撮影会はその中でも人気が高く予約制や先着順のところもあります。
終活イベントのお知らせはチラシやハガキで告知されるので、チェックしましょう。
遺影写真は無料で撮影してくれるところもありますが、プロのカメラマンを呼んで撮影する場合、500円~5,000円ほど料金がかかります。
また、遺影写真だけではなく「葬儀プランも自分で決めておきたい」とお考えの方は、終活イベント内で専門スタッフに相談することもできます。
撮影手段3:写真館やフォトスタジオ
遺影写真というと、やはり写真館やフォトスタジオを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ファミリー向けの写真館が一般的ですが、中には遺影写真専門の写真館もあります。
せっかく遺影写真を撮るなら、シニア・シルバー世代に強い写真屋でプロの技術を試すのも良いでしょう。
料金はさまざまですが、遺影写真の相場は1枚5,000円~が平均的な料金です。
CDデータが付いてきたり、写真の修正、ヘアメイクがセットになっているプランもありますので、ご自分の要望に合った写真館を見つけましょう。
遺影のスタジオの選び方や撮り方などはこちらの記事に詳しく書いてあります!ぜひこちらもチェックしてください!
遺影写真にふさわしい服装とは?
次に、遺影写真で着用する服装について解説していきます。
遺影写真はどのような服装がふさわしいのでしょうか。
フォーマルな装いがいいのか、普段のスタイルでいいのか悩みますよね。
早速男女別に、以下より遺影写真に適した服装を具体的に解説します。
男性の遺影写真に適した服装
遺影写真の服装は特に決められているわけではありませんが、服装に悩んだら喪服を着用するのが良いでしょう。
喪服以外を選ぶなら、普段気に入って着用しているジャケットなどでも問題ありません。
自分らしさが表現できる服装を選ぶのがおすすめです。
男性の遺影写真の服装に関しては以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひこちらも参考にしてください。
女性の遺影写真に適した服装
女性の場合は選択肢が多いため悩む方も多いですが、遺影写真として残すなら喪服を着用するのが無難です。
半袖やタンクトップといった「肌が露出する服装」などは好ましくありませんが、男性と同じく決まりなどはないので、好きな服装を選んでも良いでしょう。
女性の遺影写真に適した服装がわからない!という方は、以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひ参考にしてください。
遺影写真の背景はなんでもあり?
写真館などで撮影をする際に、遺影写真に使われる背景を自分で選べる場合もあります。
一般的には白やブルー・グレーが定番カラーですが、女性の場合淡いグラデーションカラーを選択する方も多いです。
反対にあまり派手な色遣いの背景は、自分が目立たなくなるため避けた方が無難です。また、着てる服との相性も考えて背景の色合いを選びましょう。
遺影写真のサイズは決まっているの?
遺影写真として使われるのは、一般的に四つ切サイズになります。
四つ切とは縦305mm×横254mmの大きさで、宗旨や宗派に関係なく遺影写真に使用されるサイズです。
それ以外にも仏壇用としてL版(縦127mm×89mm)もあると良いでしょう。
ただし、社葬や大型葬などで祭壇の幅が広くなる場合は、大きなサイズの遺影写真を用意する必要があります。
遺影写真のサイズに関しては、以下の記事で詳しく紹介しています。どんなサイズが適しているのかわからないという方はこちらの記事も参考にしてください。
遺影写真のオススメのサイズは?遺影写真のサイズについて解説!
遺影写真での顔はどんな表情にするのが良い?
遺影写真は口角を少し上げて微笑む方から、しっかり歯を見せて笑う方までその表情はさまざまです。
残された家族が「いつも笑顔で見守ってくれている」と感じるような、明るい表情になるように意識しましょう。
遺影写真の表情については以下の記事で詳しく紹介しています。どんな表情がふさわしいのかわからないという方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
遺影写真でも加工や修正は施してもOK?
最近は、アプリなどを使って簡単に画像を加工することができますが、自分で撮影した遺影写真を加工しても問題ないのでしょうか。
明るさのレベルを変える程度なら問題ありませんが、シミやシワを消しすぎたり、顔のパーツを大きく修正すると不自然な表情になります。
どうしても納得がいかない場合は、写真館やカメラ屋さんに持ち込みプロに加工をお願いしましょう。
遺影写真の加工がどこまでOKかわからない!という方は、以下の記事も参考にしてください。
遺影写真の撮影における注意点
ここからは、撮影時における注意点をご紹介します。遺影写真にふさわしくないとされるアイテムやヘアメイクについて解説するので、撮影の準備をする方は参考にしてください。
遺影写真の注意点は以下の記事で詳しく解説しています。遺影写真でNGなアイテムやヘアメイクなどは撮影前に確認しておきましょう!
注意点1:顔が隠れる帽子やサングラスはNG
撮影時は顔を隠すようなアイテムはつけない方がいいでしょう。
たとえば、つばの広い帽子やサングラスはあまり好ましくありません。
メガネを普段から使用している場合はそのままでも構いませんが、ライティングで光飛びしてしまうこともあります。
可能なら外して撮影した方が良いでしょう。
注意点2:普段の姿からかけ離れない
最後の写真になるからとスタイリングやヘアメイクに力を入れすぎると、普段の姿からかけ離れた遺影写真ができてしまいます。
遺影写真の目的は生前の元気な姿を思い出してもらうためのものです。
撮影の際は、いつも通りの自然な姿や表情が残せるように心がけましょう。
【選び方】遺族で遺影を選ぶ際はどんな写真にすれば良い?
ここからは遺影写真の選び方について解説します。
万が一遺族として遺影写真を選ぶ立場になったとき、どのような写真を選べば良いのでしょうか。
また、写真を用意していなかった場合の対処法についてもご紹介しますので、いざというときのためにご確認ください。
遺影写真に適した写真の特徴
遺影写真を選ぶ際、「本当にこの写真でいいのか」と悩むご遺族は少なくありません。
遺族から見たらいい写真だと思っていても、遺影としてふさわしいのか疑問に思うこともあるでしょう。
ここでは、遺影写真に適した写真の条件を、3つの観点から詳しく解説しますので参考にしてください。
大前提に故人の生前の人柄がわかる
遺影写真を選ぶときは、故人の人柄が表れているような写真を選びましょう。
可能ならば闘病中を連想させるような写真は避け、遺族が「あのときは楽しそうだったな」と思いを馳せることができる1枚を選ぶと良いでしょう。
遺族として客観的に見て良い写真
故人らしさが表れているベストショットは、遺族にしか分かりません。人生の最後にふさわしい写真であり、遺族から見ても「これが最も本人らしい」と思える1枚を選びましょう。
見た目が遺影としてふさわしい格好
表情が良くても、ヘアスタイルや服装に違和感がある写真は選ばないようにしましょう。
例えばボタンが外れている、帽子が汚れているといった写真は除外してください。
会葬者の中には、生前故人が親しくしていた方も訪れます。
誰に見られても恥ずかしくないような写真を選んであげることが大切です。
遺影写真を用意していなかった際の対処法
突然のお別れになった場合、故人の写真が用意できないこともあります。
特に離れて暮らしていると、最近の写真がどこにあるのか分からないこともあるでしょう。
ここでは、遺影写真がない場合の対処法について解説します。
対処法1:合成加工
近年合成加工の技術が進み、背景だけではなく目線や表情なども違和感なく調整できるようになりました。
写真の片隅に小さく写っている集合写真や旅先のスナップ写真も、故人だけを切り抜き合成したりすると遺影写真として使うことが可能です。
遺影写真として使える写真がない場合は、手持ちの写真を見せて葬儀社や写真館などに相談しましょう。
対処法2:似顔絵
故人が写真を撮られることを好まなかった場合、使える写真が全く見つからないこともあります。子どもの頃の写真や若い頃の写真が出てきても、面影が全くないと遺影写真としては使えません。
そんな時におすすめなのが、遺影代わりに「似顔絵」「肖像画」を描いてもらう方法です。
若い頃の写真から現在の姿を想像して描いてもらうことも可能ですし、表情や服装などにアレンジを加え故人らしさを表現してもらうこともできます。
ただし、完成までに時間がかかる場合もあるので、似顔絵にすると決めたら早めに葬儀社に相談しましょう。
【飾り方】遺影写真はどのようにして飾るのが正解?
葬儀が終了したら遺影写真はどのように取り扱えばいいのでしょうか。
ここでは飾り方や置き場所、遺影写真を飾る期間について解説します。
写真立て・額・デジタルフレームなどで飾るのが一般的
葬儀社で遺影写真を注文した場合、四つ切写真と額縁がセットになることが多いです。
ごく普通の見た目の額縁なので、四十九日などの法要が終わって一区切りついたときに好きな額縁に入れ替えても良いでしょう。
四つ切写真に対応する額縁の価格帯は、1,000円~1万円前後が一般的です。
また、L版サイズに縮小した遺影は、写真立てに入れて手軽に飾ることができます。
いつも家族が集まるリビングの一角やキッチン、玄関などに置くのがおすすめです。
数種類の写真を飾りたいとお考えなら、デジタルフレームを選びましょう。
内蔵メモリー型とSDカードタイプ、Wi-Fiモデルの3種類に大きく分けられますが、Wi-Fiモデルを選ぶと離れた遺族とも写真を共有することができるので便利です。
また、デジタル写真は色褪せることがないので、いつまでも鮮やかな画像で故人を偲ぶことができるでしょう。
遺影写真の写真立て・額・デジタルフレームに関しては以下の記事で詳しく紹介しています。ぜひこちらも参考にしてください。
好ましい置き場所は?
四十九日までは後飾り壇の上に遺影を飾りますが、それが過ぎると遺影の置く場所は特に決められていません。
仏間に先祖代々の遺影を並べて飾っている場合は、一緒に並べて飾りましょう。
仏間や床の間がない場合は好きな場所に飾りっても問題ありませんが、日当たりの良い場所に置くと写真が色褪せてしまう場合があるので気をつけましょう。
遺影写真の飾る期間はいつまで?
葬儀が終わった後は、自宅に後飾り壇を設置し葬儀で使用していた遺影を置きます。
後飾り壇とは、旅立ちまでの故人の魂が宿る仏具であり、葬儀に参列できなかった人がお参りをする場所でもあります。
仏式なら四十九日、神道は五十日祭など設置しておく時期が決められています。
この時期を過ぎると後飾り壇は撤去するため、遺影の置き場所も考えなくてはいけません。
仏間があれば飾る場所に困りませんが、近年は洋間のみの住宅も増えているため遺影をどこに飾ろうか悩むご家庭も多いでしょう。
使いやすい小さいサイズの写真に取り替えたなら、遺影写真として使用していた大きな写真は寺院などに持参してお焚き上げする方法もあります。
遺影写真の飾り方については、以下の記事で詳しく紹介しています。方角や飾る場所についても解説しているので、こちらもぜひ参考にしてください。
遺影写真に困ったときはプランのある写真館に相談!
ここまで遺影写真に関して解説してきましたが、「やっぱり自分で遺影写真を用意できるか不安」という方もいると思います。
そんな方々はとりあえず、お近くの遺影撮影が可能な写真館や写真スタジオで遺影写真を撮影してください。
基本的に写真館や写真スタジオにいるカメラマンは遺影にも詳しいプロ。サイズやデータ、服装やポージングなど困ったことは全てアドバイスをくれます。さらに、撮影技術も高いことから、遺影での写りもよくなること間違いなしです。
また写真スタジオにヘアメイクさんもいれば、遺影にふさわしいヘアメイクもお任せが可能!「トップの髪にボリュームを付けたいけど自分ではできない」「シワを少しでも目立たない自然な化粧をしたい」など、自分でメイクすることに自信がなければお任せしてしまいましょう。
遺影のスタジオの選び方や撮り方などはこちらの記事に詳しく書いてあります!ぜひこちらもチェックしてください!
遺影写真のまとめ
今回は遺影写真の撮り方や選び方について解説しました。
終活の一環で遺影写真を事前に撮影する方が増えてきています。
手持ちのデジカメなどを使って自分で撮影するのもいいですが、葬儀社のイベントに参加したり写真館でプロに撮影してもらったりするのもおすすめです。
また、遺族として写真を選ぶことになった場合は、故人らしい人柄が表れている写真を選びましょう。
遺影は生前の故人に思いを馳せることができる大切な写真であり、葬儀で使われる最後の写真でもあります。
いつまでも心に残るような、最適な1枚を用意しましょう。